第四回日本翻訳大賞 推薦作品リスト

2018年1月31日(水)まで第四回日本翻訳大賞の候補作を募集しています。
ここでは皆さまから推薦をうけた作品と推薦文を紹介していきます。

※推薦文のすべてが掲載されるわけではありません。予めご了承ください。


【推薦者】おこめくれよん
【推薦作品<1>】『アオイガーデン』
【作者】ピョン・ヘヨン
【訳者】きむ ふな
【推薦文】
話もそうなのだが語りそのものが不気味だ。他人の内臓を無理やり触らされているような逃げ出したさがある。感情といったものは読者の方から持ち込んで来いといわんばかりの淡々と進む文章はそのままこの世界へのあきらめを表しているみたいだ。つらいつらいと思いながらも脳裏に浮かんでくるすさまじい光景はちょっと恍惚で、読書っておもいろいなと改めて思った。

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【推薦作品<2>】『嘘の木』
【作者】フランシス・ハーディング
【訳者】児玉敦子
【推薦文】
ヒーローだと思っていた人が実はそうじゃなかったり、信じていなかった人が頼もしい味方だったりする。こういったことはたくさん起きているはずなのに私たちは自分たちの生活をその物語バージョンとすり替えてしまってあまり気づかない。この本はそんな、そこにずっとあったのに見えていなかったものを見せてくれる。ここにずっとあるのに私たちが見ないふりをしているものを壊してくれる。

書影

【推薦者】奥村ペレ
【推薦作品<1>】『人形』
【作者】ボレスワフ・プルス
【訳者】関口時正
【推薦文】
ポーランドの現代詩人ブロニスワフ・マイは「これほど美しいポーランド語の小説はない」といった。その『Lalka』は21世紀の日本で美しい邦訳『人形』として開花した。関口時正の渾身の力をこめた翻訳である。私たちはこの物語を読むことで「散文生成の〈昨日性〉」(蓮實重彦)に向かい会うことができ、本作自体がもつ〈乱雑さ〉によって味わい深い通時的〈立体感〉を知覚できる。この「蒸気と電気の時代の恋愛」は、場面を「AIと量子コンピュータの時代」に置換しても何ら違和感はない。そう、本来的に違和感はないはず。恋愛に関する限り、その本質は時代を超越しているからだ。もし、この小説に違和を感じるならば〈現代〉にこそ時代の違和があるのだ。かつてナボコフは「フローベールの『ボヴァリー夫人』は世界文学の中でも最高に天才的な小説だー内容と形式が完璧に調和しているという意味で」と書いた。このプルスの『人形』も内容と形式が完璧に調和している。
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【推薦作品<2>】『ボーリンゲン』
【作者】ウィリアム・マガイアー
【訳者】高山宏
【推薦文】
本書は「ひとつの文化自体を主人公にした集合的伝記」(訳者 高山 宏)である。20世紀前半、「エラノス会議」には賢者が次々と登場した。まるでひとつの知的光源に蝟集する蝶のように。エラノス会議という学者集団。ここで中心的役割を果たしたのがC.G.ユングだった。この学者集団を米国人メアリー・メロンの「ボーリンゲン基金」が財政的に支援した。20世紀前半の〈学知〉とはいったいどんな世界だったのか? どのようにして知識形成史は創られていったのか? ウィリアム・マガイアーはその知識形成の流れを「淡々と人物交流のデータとして時系列にそって」(訳者)書きつづった。つまり、人と人との「出会いのアルケミア」(同)を編集した。いっぽう訳者は背後の広汎な読者を意識しながら、懇々と原書の熱エネルギーを邦文に置換していった。その結果、きわめて粘度の高い翻訳が誕生した。訳者は翻訳という行為を情報と知識に基づく〈アート〉へと昇華させた。
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【推薦者】松原吉宏
【推薦作品】『駐露全権公使 榎本武揚』
【作者】ヴャチェスラフ・カリキンスキイ
【訳者】藤田葵
【推薦文】
「私たちは歴史の教科書から何を学んできただろう」どうしても暗記ばかりで今を作ってくれた先人たちの物語を知らずに普段過ごしていると感じます。中でも「近くて遠い国」と表現されるロシアと日本の交流について私たちは知らないことが多いのではないかと思います。日露の近代史の幕開けとも言える領土交渉で奮闘した榎本武揚をロシア人作家が描くという新感覚の作品。駆け引き、揚げ足取りなど現代でも存在する渦の中での奮闘の歴史だけでなく、ロシア人将校の友情も描いた心温まる作品です。
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【推薦者】timeturner
【推薦作品<1>】『嘘の木』
【作者】フランシス・ハーディング
【訳者】児玉敦子
【推薦文】
嘘を養分に育ち、その実を食べた者に真実を見せる不思議な木がテーマのダーク・ファンタジー。むっとするような息苦しさと、なんとも言えない暗い魅力に満ちた読み心地。からみつく蛇や植物の蔓、自由な動きを妨げる長いドレスやコルセットといった小道具を巧みに使うことで、主人公フェイスが感じている閉塞感が読者にも伝わってくる。表面的には父の名誉のために娘が真相を探るミステリーだが、女性にとっては牢獄のようでもあったヴィクトリア朝社会と果敢に闘う物語でもあること、その闘い方も一様ではないことがわたし的には◎。

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【推薦作品<2>】『私の名前はルーシー・バートン』
【作者】エリザベス・ストラウト
【訳者】小川高義
【推薦文】
読み終えたときに「なんだかすごいものを読んでしまった」と感じた。ただし、どうしてそんなに面白く感じるのか説明できない。ひとりの女性の自分語りにすぎず、貧しく悲惨な子供時代ではあるけれど小説になるほどドラマチックでもない。それなのにどんどん引きこまれてしまう。自分とはかけ離れた生い立ちで、共感できるとは思えないのに、なぜか「うん、わかる、わかる」と思ってしまう。自分に覚えがあることもないことも、すべて興味深く思えるし、自分が経験したことのように感じる。そんなふうに書けるって凄くない?

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【推薦者】リラモモ
【推薦作品<1>】『神秘大通り』
【作者】ジョン・アーヴィング
【訳者】小竹由美子
【推薦文】
ジョン・アーヴィングは現代アメリカ文学を代表する作家で、「ガープの世界」、「また会う日まで」、「あの川のほとりで」、「ひとりの体で」などの傑作があると予てより知っておりましたが、この作品はそれらの集大成といっても過言でありません。長い人生の生き様にそれぞれの思いで感銘を受けるのは請け合いです。個人的には最初の舞台が私の日墨交換留学で滞在したメキシコの南部のオアハカで、夏休みに訪れたことがあり、読みながらその時の思い出を彷彿させ、楽しみました。

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【推薦作品<2>】『リラとわたし』
【作者】エレナ・フェッランテ
【訳者】飯田亮介
【推薦文】
私が以前飼っていた猫の名前と同じリラに魅かれて、何気なく手に取った本です。これがアメリカとイタリアでそれぞれ100万部の大ヒット小説と後でしり、むべなるかなと納得しました。私がミラノ駐在時代に友人と歩き回ったごじゃごじゃしたナポリを舞台に展開される二人の少女の心象描写は異性でも引き込まれました。4部作なのでこれから続巻が逐次発売されると思いますが、彼女たちの成長と行く末は興味深々とさせるナポリの物語1でした。

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【推薦者】田仲真記子
【推薦作品<1>】『硬きこと水のごとし』
【作者】閻連科
【訳者】谷川毅
【推薦文】
『硬きこと水のごとし』は、文化大革命に猛進しつつ、不倫関係を続ける男女の愛欲の物語だ。愛人と自由に逢瀬を重ねるために550メートルのトンネルを掘る、というほら話のような展開。一見まじめな構えだが読めば読むほどコミカルなストーリー、濃厚で過剰な性描写、結末に向けて読者の心を揺さぶる筆致までを生き生きと楽しむことができたのは、作品が持つエネルギー、テンポ、ユーモアをしっかりと日本語に移し替えた訳者の力量によるところが大きい。さらに本作には、数多くの毛沢東詩詞や革命模範劇、漢詩が引用、言及されている。これらを翻訳し本文に織り込んでいくことは、非常に大変な仕事だったのではないかと思う。また、閻連科の故郷がモデルと思われる村の人々の語る言葉には、『愉楽』でおなじみの広島弁風方言が使われている。『愉楽』の愛読者としては、懐かしい言葉に触れたような気持ちになって、さらに楽しめた。
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【推薦者】トリノエカ
【推薦作品】『駐露全権公使 榎本武揚』
【作者】ヴャチェスラフ・カリキンスキイ
【訳者】藤田葵
【推薦文】
タイトルヒーローは、明治初期にロシアとの樺太・千島交換条約締結身を成功させた外交官である。ロシア人作家が実在の日本人政治家を描く小説は珍しい。これは面白そうだと単純な関心から読み始めた。純然たる歴史小説ではない。作家の手によって若いロシア人将校が創り出され、主人公と絡む。榎本を失脚させようと刺客が暗躍し、ハラハラドキドキしながら読み進んだ。男の友情、犠牲を強いられた恋、狡猾な策略が筋を作り上げていて興味深い。歴史上は比較的地味なこの主人公に光を当て、ドラマティックに創作した著者の調査力、そしてそれを見事な日本語に翻訳した訳者の根気とバイタリティーに敬意を表する。本書は明治150年の今年、明治黎明期を見直してみる契機となるだろう。西郷どんにもちょっと別の面があったかもしれない。鹿児島弁の訳文はなかなか臨場感がある。文句なく面白い訳書だ。
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【推薦者】赤松美和子
【推薦作品<1>】『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』
【作者】伊格言
【訳者】倉本知明
【推薦文】
アジア初の同性婚OKに先駆け、台湾は、去年1月、アジア初の脱原発を宣言した。そこに至るには長年の社会運動と政治の駆け引きがあったのだが、運動が再び盛り上がったのは、他でもない福島第一原発事故がきっかけである。311以降台湾では大規模な反原発集会が何度も開催された。小説という形で反原発問題に介入し牽引したのが本書だ。最も読むべき日本の読者に届けられたことを喜びたい。多くの方が読んでくださいますように。
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【推薦作品<2>】『星空 The Starry Starry Night』
【作者】ジミー・リャオ
【訳者】 天野健太郎
【推薦文】
どのページも瑞々しく美しく、泣いてもいいよと悲しみの涙が自分の中に流れたり、生命力の源の水が自分の中に溢れてきたり、枯れた自分自身が、ページをめくるごとに次第に満ち満ちていく。そんなジミー・リャオの絵の世界を、イメージのみならず、自分の中に積み重ねられる言葉として残してくれるのが、添えられた文だ。ジミー・リャオの世界をすばらしい訳で堪能できて嬉しい!

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【推薦者】ゆき子
【推薦作品】『私の名前はルーシー・バートン』
【作者】エリザベス・ストラウト
【訳者】小川高義
【推薦文】
疎遠であった家族との再会の記憶から始まる物語。あくまでも静かに、しかし熱量を持ったまま淡々と語られるとりとめのない記憶の断片を読んでいるうちに、むしろそこで語られないたくさんの人生をも想像し、胸が熱くなった。全ての人には人生があるのだという当たり前だけれども途方もない事実に改めて深く思いを馳せる。装丁もすごく好きです。

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【推薦者】鴨志田新悟
【推薦作品】『10:04』
【作者】ベン・ラーナー
【訳者】木原善彦
【推薦文】
私小説的な挿話の積み重ねで展開される物語の構造が心地よく、またユーモアのある一人称の語り口、そして実験的な構造や仕掛けが特徴の本作は、実験的なポストモダン文学の流れを汲んで、ようやく現われた「今」の文学だと思いました。詩のような曖昧な表現の多い作品だと思いますが、読みづらさを感じさせない素晴らしい翻訳のため、そう感じたのだと思います。
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【推薦者】久保せいこ
【推薦作品】『私の名前はルーシー・バートン』
【作者】エリザベス・ストラウト
【訳者】小川高義
【推薦文】
女性作家の女性主人公の作品で、完全に物語に埋没できたので、てっきり女性の翻訳家と思ってました。入院した個室をほんのり照らすニューヨークの夜景。足元の先に置かれた椅子に母がいることに気づく。巧みな言語の橋渡しによって、作家と、このイメージを共有できた喜び。次回作も小川さんに訳してもらいたいです。

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【推薦者】黄木漆
【推薦作品】ミュージカル 『パジャマゲーム』
【作者】ジョージ・アボット/リチャード・ビッセル
【訳者】高橋知伽江
【推薦文】
多くのスタッフ、関係者の尽力のおかげで、その気になれば、毎月違う作品が見られるほどのミュージカルブーム。翻訳物ミュージカルは人気があるけど、作品によっては楽曲と歌詞の音が合ってなくて聞き取りづらかったり、訳詞の意味が分からなくて気になったりすることも。パジャマゲーム程、ノンストレスな翻訳はちょっとない。特に不自然な言葉を使わず、韻まで再現した歌詞はキャストの歌唱の素晴らしさとの相乗効果で自然と耳に残り、リピートしたくなること間違いなし。リプライズでの歌詞の変化も違和感なく、間違いなく自然な翻訳は作品の魅力に繋がっていたと思う。1人でも多くの人に聞いてもらえるよう、再演希望です。

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第四回日本翻訳大賞授賞式開催決定

第四回「日本翻訳大賞」授賞式の日付が決定しました。
2018年4月28日(土)に、デジタルハリウッド大学 駿河台ホールにて行います。

 

授賞式

 

また本日1月20日より1月31日まで、読者推薦作品とコメントを募集しています。
推薦はこちらから。
対象となるのは、2016年12月1日から2017年12月31日までに発表された翻訳作品です。
ひとり2作品まで推薦できます。

第四回日本翻訳大賞開催決定

第四回「日本翻訳大賞」の開催が決定しました。

「日本翻訳大賞」は「翻訳家がつくる翻訳賞」です。

「読者と翻訳者のために、もっと開かれた翻訳の賞をつくりたい」。
2014年、翻訳家・西崎憲のつぶやきに、ゲームクリエイターの米光一成が賛同したことがきっかけとなり日本翻訳大賞は設立されました。

選考委員は、現在日本の翻訳文学を牽引する翻訳家5名です。
【選考委員】金原瑞人、岸本佐知子、柴田元幸、松永美穂、西崎憲

選考委員


年に一度、翻訳好きが集まる祭典

2014年、わずか1日でクラウドファウンディングの目標額をクリアし、最終的に385人もの方々から約340万円の支援を受けて設立されたのが日本翻訳大賞です。
第一回「日本翻訳大賞」は『カステラ』パク・ミンギュ、ヒョン・ジェフン/斎藤真理子訳(クレイン)と『エウロペアナ:二〇世紀史概説』パトリク・オウジェドニーク/阿部賢一、篠原琢訳(白水社)が大賞を受賞。また読者賞が『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ/東江一紀訳(作品社)に贈られました。授賞式は新宿・紀伊国屋サザンシアターで行われ、300名以上が来場。朗読や生演奏を交えた授賞式には翻訳書のファンが集い、他に類を見ないイベントとして好評を博しました。

第二回「日本翻訳大賞」は『素晴らしきソリボ』パトリック・シャモワゾー/関口涼子、パトリック・オノレ(河出書房新社)と『ムシェ 小さな英雄の物語』キルメン・ウリベ/金子奈美訳(白水社)が受賞。

第三回は『すべての見えない光』アンソニー・ドーア/藤井光訳(新潮社)、『ポーランドのボクサー』エドゥアルド・ハルフォン/松本健二訳(白水社)が受賞しました。

 

受賞挨拶 アンソニー・ドーアとエドゥアルド・ハルフォン

受賞作『すべての見えない光』(藤井光訳/新潮社)の作者アンソニー・ドーアと、『ポーランドのボクサー』(松本健二訳/白水社)の作者エドゥアルド・ハルフォン、それぞれから届いた挨拶を掲載します。


アンソニー・ドーアからのメッセージ
藤井光訳

『すべての見えない光』が第三回日本翻訳大賞の受賞作となったことを、心から名誉に思います。デビューして間もない頃から今まで、僕の作品を日本で出版してくれている新潮社と、心を砕いて翻訳を完成させてくれた訳者の藤井光さんに感謝します。そして何よりも、選考に参加してくださった読者のみなさまにお礼を言いたいと思います。読者なくしては、作家も出版社も存在できないのですから。
翻訳文学に与えられる賞は、とても大事なものです。長編や短篇や詩が、国と国のあいだに何千という扉を開くものだと教えてくれるからです。優れた本は、文化や階級や人種、さらには時間の壁を超えていくことができます。優れた本は、僕たちをふわりと持ち上げ、自分という垣根を超えて、似たような人生を送る隣人であれ、地球の反対側で生きる人であれ、他者の人生に入り込ませてくれます。
本を通じて、人々への共感を培っていきましょう。今、この世界では、他者への共感がかつてなく必要とされています。どうもありがとうございました。

 

 

エドゥアルド・ハルフォンからのメッセージ
松本健二訳

三年前の三月、雨の日の午後、私は京都で訳者の松本健二とはじめて会いました。その日の午後から私たちは共同作業の可能性について話し合い始めました。私はおそらく冗談半分で、三冊を一冊にまとめ直せば日本の読者だけが読める世界でひとつの版をつくれるのでは、と言いました。三冊とも読んでいた健二はすぐさま私の意図を理解してくれました。どれも同じ語り手が同じ探求をしている、合冊には意味があると。しかし本当にそうだろうか? はっきりとそれが分かったのは、健二が翻訳を終え、それが私たちの編集者である金子ちひろさんの手に渡り、彼女がそれを通読したあとで、たしかに意味がある、これはもはや三冊ではなく一冊の小説になっている、と断言してくれた時でした。
翻訳とはいつだって信念のなせる業といえます。作家がなにか言葉を書くと、翻訳者はそれを受け取り、家に持ち帰ります。翻訳者は、ある言語から別の言語に、ある記号体系から別の記号体系に、それらの言葉を元の形のまま同時に変換しなくてはなりません。結果としてそれらは元の言葉でもありながら、同時に違う言葉にもなっている。翻訳とは信念のなせる業、英雄的行為です。
そして、文学作品を出版するのも、信念のなせる業であり、英雄的行為です。あらゆるものがインスタント化されメディアに拡散しているこの時代にあって、もともとは三冊だったらしき小説を合冊にして翻訳するのは、なかなかの勇気を要することです。しかもその作者はグアテマラ人なのにグアテマラに住んでいないし、ユダヤ人なのに自らをユダヤ人と思っていないし、題名になっているポーランド人ボクサーなど実際には作品中で一度も姿を現さないのですから。
自分には英雄と呼べる人物はほとんどいません。マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師か野球選手くらいでしょう。あるいはジャズ・ミュージシャン。あるいは私の作品を訳してくれた人々と編集者。グラシアス、健二、グラシアス、ちひろさん。

第三回日本翻訳大賞受賞作 決定

第三回日本翻訳大賞の選考会が平成29年4月9日(日)早稲田で行われ、候補作品の中から『すべての見えない光』(アンソニー・ドーア/藤井光訳 新潮社)『ポーランドのボクサー』(エドゥアルド・ハルフォン/松本健二訳 白水社)が受賞作に決まりました。


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授賞式&トークイベントは2017年4月23日(日)、デジタルハリウッド大学  駿河台ホールで開催します。
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<第三回日本翻訳大賞授賞式>
【日時】2017年4月23日(日) 14:30開演(16:30閉会)
【会場】デジタルハリウッド大学  駿河台ホール
【内容】選考委員全員が壇上で座談会的に総評、受賞訳にたいする選評、受賞者挨拶、受賞者と委員の対談、朗読等々イベントとしてもお楽しみいただける内容を予定しております。(受賞者の意向や諸事情による内容変更はあらかじめご了承ください)
【チケット】Peatixで予約受付中。
http://nht3.peatix.com
【料 金】1,000円 (税込・全席自由)   ※チケット代金は日本翻訳大賞の運営費に充てさせていただきます。

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授賞式は、選考委員が選考会を振り返る座談会や、受賞作に関するトーク、受賞者との対談など、翻訳に関するイベント満載のカジュアルな式を企画しています。ぜひ、お気軽にご参加ください!

第三回日本翻訳大賞最終選考候補作品

第三回日本翻訳大賞の最終選考対象作が下記の6冊に決まりました。
(作品名50音順)


『あの素晴らしき七年』エトガル・ケレット/秋元孝文訳、新潮社

『狂気の巡礼』ステファン・グラビンスキ/芝田文乃訳、国書刊行会

『すべての見えない光』アンソニー・ドーア/藤井光訳、新潮社

『堆塵館』エドワード・ケアリー/古屋美登里訳、東京創元社

『ペーパーボーイ』ヴィンス・ヴォーター/原田勝訳、岩波書店

『ポーランドのボクサー』エドゥアルド・ハルフォン/松本健二訳、白水社


書影

書名:『あの素晴らしき七年』
著者:エトガル・ケレット(著)、秋元孝文(訳)
出版:新潮社

書影

書名:『狂気の巡礼』
著者:ステファン・グラビンスキ(著)、芝田文乃(訳)
出版:国書刊行会

書影

書名:『すべての見えない光』
著者:アンソニー・ドーア(著)、藤井光(訳)
出版:新潮社

書影

書名:『堆塵館』
著者:エドワードケアリー(著)、古屋美登里(訳)
出版:東京創元社

paperboy
書名:『ペーパーボーイ』
著者:ヴィンス・ヴォーター(著)、原田勝(訳)
出版:岩波書店

El boxeador polaco
書名:『ポーランドのボクサー』
著者:エドゥアルド・ハルフォン(著)、松本健二(訳)
出版:白水社


受賞作は4/10(月)正午に公式サイトとツイッターにて発表予定です。

翻訳者への質問を募集します

3/31の19:30から御茶ノ水のデジタルハリウッド大学にて行われるトークイベント翻訳ナイト:第一夜「翻訳したい本・翻訳する本」にて、出演する翻訳者(金原瑞人、岸本佐知子、柴田元幸、西崎憲)への質問を事前に募集しています。

#翻訳ナイト とハッシュタグをつけて、質問をツイートしてください。
イベントで、いくつかの質問をピックアップして、出演者が回答する予定です。

イベントのご予約はこちら→ http://peatix.com/event/247249